広瀬大忌祭祝詞

ひろせのおおいみのまつりののりと

15

若宇加売命への奏上

広瀬の川合に称へ辞竟へ奉る皇神の御名を白さくひろせのかはひにたたへごとをへまつるすめがみのみなをまをさく

御膳持ちする若宇加の売の命と御名をば白してみけもちするわかうかのめのみこととみなをばまをして

此の皇神の前に辞竟へ奉らくこのすめがみのまへにことをへまつらく

皇御孫の命の宇豆の幣帛を捧げ持たしめてすめみまのみことのうづのみてぐらをささげもたしめて

王臣等を使として称へ辞竟へ奉らくをおほきみたちまへつきみたちをつかひとしてたたへごとをへまつらくを

神主・祝部等諸聞き食へよと宣ふかむぬし・はふりどももろもろきこしめせとのる

奉る宇豆の幣帛は、御服は明妙・照妙・和妙・荒妙たてまつるうづのみてぐらは、みそはあかるたへ・てるたへ・にぎたへ・あらたへ

五色の物、楯・戈・御馬いついろのもの、たて・ほこ・みうま

御酒は甕の上高知り、甕の腹満て並べてみきはみかのへたかしり、みかのはらみてならべて

和稲・荒稲ににぎしね・あらしねに

山に住む物は毛の和き物・毛の荒き物やまにすむものはけのにごきもの・けのあらきもの

大野の原に生ふる物は甘菜・辛菜おほぬのはらにおふるものはあまな・からな

青海原に住む物は鰭の広き物・鰭の狭き物あをうなばらにすむものははたのひろきもの・はたのせばきもの

奥つ藻菜・辺つ藻菜に至るまでおきつもは・へつもはにいたるまで

置き足らはして奉らくとおきたらはしてまつらくと

皇神の前に白し賜へと宣ふすめがみのまへにまをしたまへとのる

かく奉る宇豆の幣帛を安幣帛の足幣帛とかくたてまつるうづのみてぐらをやすみてぐらのたらみてぐらと

皇神の御心に平らけく安らけく聞こし食してすめがみのみこころにたひらけくやすらけくきこしめして

皇御孫の命の長御膳の遠御膳と赤丹の穂に聞こし食すすめみまのみことのながみけのとほみけとあかにのほにきこしめす

皇神の御刀代を始めてすめがみのみとしろをはじめて

親王等・王等・臣等・天下の公民の取り作る奥つ御歳はみこたち・おほきみたち・おみたち・あめのしたのおほみたからのとりつくるおきつみとしは

手肱に水沫画き垂れ、向股に泥画き寄せて取り作らむ奥つ御歳をたなひぢにみなわかきたれ、むかももにひぢかきよせてとりつくらむおきつみとしを

八束穂に皇神の成し幸はへ賜はばやつかほにすめがみのなしさきはへたまはば

初穂をば汁にも穎にも、千稲・八千稲に引き居ゑてはつほをばしるにもかひにも、ちしね・やちしねにひきすゑて

横山の如く打ち積み置きて秋の祭に奉らむとよこやまのごとくうちつみおきてあきのまつりにたてまつらむと

皇神の前に白し賜へと宣ふすめがみのまへにまをしたまへとのる

倭の国の六つの御県の山の口に坐す皇神等の前にもやまとのくにのむつのみあがたのやまのくちにますすめがみたちのまへにも

皇御孫の命の宇豆の幣帛をすめみまのみことのうづのみてぐらを

明妙・照妙・和妙・荒妙、五色の物、楯・戈に至るまで奉るあかるたへ・てるたへ・にぎたへ・あらたへ、いついろのもの、たて・ほこにいたるまでたてまつる

かく奉らば皇神等の敷き坐す山山の口よりかくたてまつらばすめがみたちのしきますやまやまのくちより

さくなだりに下し賜ふ水を甘き水と受けてさくなだりにくだしたまふみづをうまきみづとうけて

天の下の公民の取り作れる奥つ御歳をあめのしたのおほみたからのとりつくれるおきつみとしを

悪しき風・荒き水に相はせ賜はずあしきかぜ・あらきみづにあはせたまはず

汝命の成し幸はへ賜はばながみことのなしさきはへたまはば

初穂をば汁にも穎にも、甕の上高知り、甕の腹満て並べてはつほをばしるにもかひにも、みかのへたかしり、みかのはらみてならべて

横山の如く打ち積み置きて奉らむとよこやまのごとくうちつみおきてたてまつらむと

王等・臣等・百の官の人等おほきみたち・まへつきみたち・もものつかさのひとたち

倭の国の六つの御県の刀祢、男女に至るまでやまとのくにのむつのみあがたのとね、をとこをみなにいたるまで

今年の某の月の某の日、諸参り来てことしのそれのつきのそれのひ、もろもろまゐりきて

皇神の前にうじ物頚根築き抜きてすめがみのまへにうじものうなねつきぬきて

朝日の豊逆登りに称へ辞竟へ奉らくをあさひのとよさかのぼりにたたへごとをへまつらくを

神主・祝部等諸聞き食へよと宣ふかむぬし・はふりどももろもろきこしめせとのる

現代語訳若宇加売命への奏上

かわ流れながれ合わさるあわさる広瀬ひろせお祭りおまつりするかみ御名みなを、御膳ごぜんをつかさどる若宇加売命わかうかのめのみこと申し上げもうしあげます。天皇てんのう幣帛へいはく使者ししゃ捧げささげ持たもたせて称えとなえ申し上げるもうしあげるので、神主かんぬし祝部はふりべたちはよく聞くきくように、との御命令ごめいれいです。

注記

若宇加売命の表記には「若宇加能売命」などの形もあります。本ページでは表示底本の訓読に合わせています。

冒頭

若宇加売命への奏上1 / 5

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