四柱の神々への奏上
天皇が大命に坐せ
恐き鹿島に坐す健御賀豆智命
香取に坐す伊波比主命
枚岡に坐す天之子八根命・比売神
四柱の皇神等の広前に白さく
春日の宮
大神等の乞はし賜ひの任に
春日の三笠山の下つ石根に宮柱広知り立て
高天原に千木高知りて
天の御蔭・日の御蔭と定め奉りて
神宝と供物
貢る神宝は御鏡・御横刀・御弓・御桙・御馬に備へ奉り
御服は明多閇・照多閇・和多閇・荒多閇に仕へ奉りて
四方の国の献れる御調の荷前取り並べて
青海原の物は鰭の広物・鰭の狭物、奥つ藻菜・辺つ藻菜
山野の物は甘菜・辛菜に至るまで
御酒は甕の上高知り、甕の腹満て並べて
雑の物を横山の如く積み置きて
神主に某の官位姓名を定めて
献る宇豆の大幣帛を安幣帛の足幣帛と
平らけく安らけく聞し看せと
皇大御神等を称へ辞竟へ奉らくと白す
朝廷と奉仕者の安泰
如此仕へ奉るに依りて今も去前も
天皇が朝廷を平らけく安らけく
足御世の茂し御世に斎ひ奉り
常石に堅石に福はへ奉り
預かりて仕へ奉る処処・家家の王等・卿等をも平らけく
天皇が朝廷に伊加志夜久波叡の如く仕へ奉り
佐加叡志米賜へと称へ辞竟へ奉らくと白す
現代語訳四柱の神々への奏上
天皇の御命令により、鹿島の健御賀豆智命、香取の伊波比主命、枚岡の天之子八根命と比売神、合わせて四柱の神々の御前に申し上げます。
注記
神名の表記と読みには資料による違いがあります。本ページは表示底本の表記を優先しています。
意訳を含みます
神々のお求めに従い、春日の三笠山に宮柱を深く据え、千木を高く上げて、神々がお鎮まりになる御殿を定めました。
注記
「天の御蔭・日の御蔭」は宮殿を敬って表す定型句で、ここでは文脈に沿って「神々がお鎮まりになる御殿」と補っています。
意訳を含みます
鏡、刀、弓、桙、馬、さまざまな布を神宝として備え、諸国からの品、海や山野の食物、御酒など多くの供物を並べます。神主を定め、この尊い幣帛を満ち足りた捧げ物として、穏やかにお受け取りくださいと神々を称えて申し上げます。
注記
供物名には古代の制度・素材に関わる語が含まれます。ここでは品目の列挙を要約し、個々の同定を断定していません。
意訳を含みます
このようにお仕えすることにより、これから先も朝廷を穏やかで満ち足りた世として守り、末永く栄えさせてください。また、祭に仕える諸家の人々も安らかに、朝廷に力強く仕えて栄えるようにと申し上げます。
注記
末尾の比喩的な古語は校註・現代語説明を参照して、繁栄を願う文意としてまとめています。
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