続く不作と卜占
龍田に称辞竟へ奉る皇神の前に白さく
志貴嶋に大八嶋国知しし皇御孫命の
遠御膳の長御膳と赤丹の穂に聞し食す五穀物を始めて
天下の公民の作る物を草の片葉に至るまで成さず
一年二年に在らず、歳まねく傷へるが故に
百の物知人等の卜事に出でむ神の御心は此の神と白せと負せ賜ひき
此を物知人等の卜事を以て卜へども、出づる神の御心も無しと白すと聞し看して
たつたのかぜのかみのまつりののりと
17
意訳を含みます
龍田の神々の前に申し上げます。皇御孫命が召し上がる五穀をはじめ、人々の作るものが草の葉に至るまで、何年にもわたり実らず損なわれました。そこで多くの占いに通じた者へ、どの神の御心によるものか占うよう命じましたが、神意を見いだせないとの答えでした。
皇御孫命は、天つ社・国つ社の神々を忘れず、漏れなく称え奉っているのに、いったいどの神が人々の作物を実らせず損なっているのか、その神自身が御心を示すようにと強く求められました。
意訳を含みます
すると皇御孫命の大いなる夢に神々が現れ、悪い風と荒い水によって作物を損なったのは、天の御柱命と国の御柱命であると名乗りました。そして、種々の布や五色の品、楯、戈、鞍を付けた馬などを供え、朝日を受け夕日の隠れる龍田の立野の小野に宮を定めて称え奉るなら、五穀から草の葉に至るまで豊かに実らせると告げました。
夢告の二柱は龍田の風神として説明されますが、神名と神格の理解には後世の伝承もあります。
神々が教え示した場所に宮柱を定め、皇御孫命の尊い幣帛を捧げ持たせ、王や臣を使者として神々を称え奉ります。この奏上を神主と祝部はよく聞くよう命じます。
意訳を含みます
男神には種々の布、五色の品、楯、戈、鞍を付けた馬を奉り、女神には布に加えて金の糸巻き道具などと鞍を付けた馬を奉ります。さらに御酒、精米と籾米、山野の獣や菜、海の魚や海藻までを山のように積んで供えます。
「麻笥・椯・桛」は紡織に関わる器具としてまとめました。個々の形状には諸説があります。
意訳を含みます
この尊い幣帛を不足のない供え物として穏やかにお受け取りください。人々の作るものを悪い風や荒い水に遭わせず、豊かに実らせてくださるなら、数多くの初穂と御酒を整え、秋の祭に奉ります。
意訳を含みます
王や卿、役人、大和国の六御県の代表、男女に至るまでが四月の祭日に参集し、神前で深く頭を垂れ、朝日の昇る時に称え奉ります。神主と祝部は、皇御孫命からの尊い幣帛を受け取り、怠ることなく奉るようにとの御命令をよく聞くよう告げます。
原文には七月の祭では月名を読み替える注記があります。表示本文は四月祭の形を採用しました。
冒頭
端末の「視差効果を減らす」設定により、自動スクロールは停止しています。