身滌祓詞

みそぎはらひのことば

14

伊邪那岐命の禊

高天原たかまのはらに神留りかむづまり坐すます皇親すめらがむつ神漏岐かむろぎ神漏美かむろみの命みこと以ちてもちて、神随らかむながらと知ろししろし食してめして

皇祖すめみをやの御身みみの穢濁けがれを滌ぎあらひ去らむさらむとて

粟水門あはみなとまた速吸名門はやすひなとに出でいで坐してまして、言挙げことあげして詔りのり給はくたまはく

此この二門ふたどは甚いと疾しはやしと、日向ひむかの橘たちばなの小戸おどの阿波岐原あはぎはらに出でいで坐してまして

上つ瀬かみつせは甚いと疾くはやく、下つ瀬しもつせは甚いと弱しよわしとて、中つ瀬なかつせに禊祓ひみそぎはらひ給ふたまふ時ときに生れあれ坐せるませる

九柱ここのはしらの神等かみたち

祓ひはらひ賜ひたまひ清めきよめ賜ふたまふ神直日かむなほび・大直日おほなほび二柱ふたはしらの神等かみたちは、八十禍事やそまがことを直しなほし賜ひたまひ、禍津日神まがつひのかみの禍まがあらしめず

住吉すみのえに斎ひいつき奉るまつる底筒男命そこつつのをのみこと・中筒男命なかつつのをのみこと・表筒男命うはつつのをのみこと

また阿曇連等あづみのむらじらが祭れるまつれる底津少童命そこつわたつみのみこと・中津少童命なかつわたつみのみこと・表津少童命うはつわたつみのみこと

諸々もろもろの汚穢けがれを祓ひはらひ清めきよめ賜ふたまふを、瀬織津姫神せおりつひめのかみ、海原うなばらに持ちもち出でなむいでなむ

如此かく持ちもち出でしいでしを、速秋津姫神はやあきつひめのかみ、速吸名門はやすひなとへ持ちもちかか呑みてのみて

気吹戸主神いぶきどぬしのかみ、根国ねのくに底国そこのくにへ気吹きいぶき放ちてはなちて、汚穢けがれと云ふいふ汚穢けがれはあらじと

祓ひはらひ賜ひたまひ清めきよめ賜へたまへと白すまをす言ことの由よしを

祓戸神等はらひどのかみたち、また月山大神つきやまのおほかみ・出羽大神いではのおほかみ・湯殿山大神等ゆどのやまのおほかみたち共にともに聞こしきこし食せめせと

恐みかしこみ恐みかしこみも白すまをす

現代語訳伊邪那岐命の禊

意訳を含みます

高天原たかまのはらに鎮まるしずまる皇祖こうその神々かみがみの御命令ごめいれいに従いにしたがい、皇祖伊邪那岐命こうそいざなぎのみことは御身おんみの穢れけがれを洗い去ろうあらいさろうとしました。粟門あわのみなとと速吸門はやすいのみなとは流れながれが速そくすぎるとし、日向ひむかの橘たちばなの小戸おどの阿波岐原あわぎはらへ赴きおもむき、上うえの瀬せは速そくすぎ、下したの瀬せは弱すぎるよわすぎるため、中なかの瀬せで禊みそぎ祓いはらいをなさいました。

注記

底本は主語を「皇祖」と表します。訳では後続の禊神話に従って伊邪那岐命を補いました。地名・水門名には複数の表記があります。

冒頭

伊邪那岐命の禊1 / 4

身滌祓詞

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身滌祓詞

身滌祓詞について

概要

伊邪那岐命の禊で生まれた神々をたどり、祓戸の神々が罪穢れを遠くへ運び去る働きによって清めを願う祓詞です。

構成
4節
本文量
372字
注記
3件

この祝詞で願うこと

  • 伊邪那岐命の禊を語ること
  • 祓戸神の働きを唱えること
  • 身の罪穢れの祓い清めを願うこと

神々・対象

伊邪那岐命
禊を行い、諸神が現れる神話の中心
祓戸の神々
罪穢れを運び、呑み、吹き、失わせる神々
出羽三山の神々
表示底本の結びで祓いを願う対象

由来と位置づけ

近世・近代の祓詞資料に伝わる禊神話系の詞で、出羽三山の神拝詞にも受け継がれています。一般的な大祓詞と同じ祓戸神を語りながら、三山の神々へ結ぶ地域性を持ちます。

本文の流れ

全4節で、「伊邪那岐命の禊」から「祓い清めを願う」までをたどります。

読む前に知っておきたいこと

  • 禊、現れた神々、祓戸神の働き、祓いの願いへ進みます。

  • 神々の数え方や地名・水門名には資料差があります。

  • 出羽三山への結びはこの伝承の地域性を示し、すべての身滌祓詞に共通しません。

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