少毘古名神へ申し上げる
掛けまくも畏き少毘古名神の宇豆の広前に、恐み恐みも白さく
国造りと医薬の神徳
高天原に神留り坐す高皇産霊神の御子に、産巣国造大己貴神と力を合せ、御心を一つにして
天下の蒼生人の病を療治給ふに、医薬の方を始め給ひ
及び鳥獣昆虫の災を祓ふ禁厭の術を伝へ給ひ、外国々の事を掌り給ふ
作物の実りを願う
御功績の広く厚きを平らみ敬ひ、宇豆の広前に神酒・御饌・御幣を捧げ、乞ひ祈り白す事を、平らけく安らけく聞こし食して
作る田物等に悪風・荒水に相はせ給はず、八束穂の茂穂に成り、幸ひ給へ
家内と子孫の安寧を願う
家内の諸人、親族、種々の災難無く、諸々の病を攘ひ退け、平らに治し給ひ
此の子孫の八十続に栄えしめ給へと
鹿自物膝折り伏せ、鵜自物頸根突き抜きて、畏み畏みも白す
現代語訳少毘古名神へ申し上げる
意訳を含みます
御名を口にするのも畏れ多い少毘古名神の尊い御前に、慎んで申し上げます。
注記
「宇豆の広前」は神威ある広い御前を表す定型句として訳しました。
意訳を含みます
高天原に鎮まる高皇産霊神の御子として、大己貴神と力と心を合わせて国造りを進め、人々の病を治す医薬の道を始め、鳥獣や虫による災いを防ぐ術を伝え、諸国の事を司られました。
注記
医薬・禁厭・諸国を司るという神徳は、この近代刊本と関連する後世の伝承を反映します。古事記本文だけに記された説明ではありません。
意訳を含みます
広く厚い御功績を仰ぎ敬い、御前に神酒・御饌・御幣を捧げて祈る言葉を、穏やかにお聞き届けください。育てる作物が激しい風や水害に遭わず、長く豊かな穂を実らせるようお恵みください。
注記
「八束穂」は長く豊かに実った稲穂を表す祝福的な表現として訳しました。
意訳を含みます
家の人々と親族にさまざまな災難がなく、諸々の病を退けて穏やかに治め、この子孫が幾代にもわたって栄えるようにしてくださいと、深く身を伏せ、畏れ敬って申し上げます。
注記
歴史的な祈願文です。病気への祈りは、診療や治療など現代の医療に代わるものではありません。結びの動物比喩は深い拝礼の姿勢としてまとめました。
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