遷却祟神祝詞

たたりがみをうつしやらふのりと

15

神議りと最初の使者

高天原たかまのはら神留かむづまして事始ことはじたまひし神漏伎かむろぎ神漏美かむろみ命以みこともちて、あめ高市たけち八百万やほよろづ神等かみたち神集かむつどへにつどたまひ、神議かむはかりにはかたまひて

皇御孫之尊すめみまのみこと豊葦原とよあしはら水穂国みづほのくに安国やすくにたいらけくしろせと、あめ磐座放いはくらはなちてあめ八重雲やへぐも伊頭いづ千別ちわきに千別ちわきて天降あまくださしまつりしとき

いづれかみつかはし水穂国みづほのくに荒振あらぶ神等かみども神攘かむはらはらけむと神議かむはかはかたまときに、もろもろ神等皆量かみたちみなはかまをさく、天穂日之命あめのほひのみことつかはしてたいらけむとまをしき

ここちて天降あまくだつかはすときに、かみ返言申かへりごとまをさざりき

つぎつかはしし健三熊之命たけみくまのみことちちことしたがひて返言申かへりごとまをさず

又遣またつかはしし天若彦あめわかひこ返言申かへりごとまをさずて、たかとりわざはひりて立処たちどころ身亡みうせにき

ここ以ちてもちて天津神あまつかみ御言みこと以ちてもちて更にさらに量りたばかり給ひてたまひて経津主命ふつぬしのみこと健雷命たけみかづちのみこと二柱ふたはしら神等かみたち天降しあまくだし給ひてたまひて

荒振あらぶ神等かみども神攘かむはらはらたま神和かむやはやはたまひて、語問こととひし磐根いはね樹立こだちくさ片葉かきはをも語止ことやめて

皇御孫之尊すめみまのみこと天降あまくださしまつりき

天降あまくださしまつりし四方よも国中くになか大倭日高見おほやまとひだかみくに安国やすくにさだまつりて、した磐根いはね宮柱太敷みやばしらふとして、高天原たかまのはら千木高知ちぎたかしりて

あめ御蔭みかげ御蔭みかげ仕へつかへ奉りてまつりて安国やすくに平らけくたいらけく知し食さむしろしめさむ皇御孫之尊すめみまのみことあめ御舎みあらかうち坐すます皇神等すめがみたち

あらたまたけたま事無ことなくして、高天原たかまのはらはじめしことかむながらもしろして、神直日かむなほび大直日おほなほびなほたまひて

ところよりは四方よも見霽みはるかす山川やまかはきよところうつして、ところうすはせとまを

たてまつ幣帛みてぐら明妙あかるたへ照妙てるたへ和妙にぎたへ荒妙あらたへそなまつりて、見明かす物と鏡みあからむるものとかがみもてあそものたま射放いはなもの弓矢ゆみや打断うちたもの太刀たちづるもの御馬みうま

御酒みきみか戸高知へたかしり、みか腹満はらみならべて、よねにもかひにも

やまもの和物にこもの荒物あらもの大野原おほのはらふるもの甘菜あまな辛菜からな

青海原あをうなばらものはた広物ひろものはた狭物さものおき海菜もは海菜もはいたるまでに

横山よこやまごと机物つくゑつものらはして

たてまつ宇豆うづ幣帛みてぐら安幣帛やすみてぐら足幣帛たりみてぐらたいらけくきこして、たたたまたけたま事無ことなくして

山川やまかはひろきよところうつしてかむながらしづまりせと称辞竟たたへごとをまつらくとまを

現代語訳神議りと最初の使者

高天原たかまのはら神々かみがみ八百万やおよろず神々かみがみ集めあつめ相談そうだんし、皇御孫之尊すめみまのみこと豊葦原の水穂国とよあしはらのみずほのくに平安へいあん治めおさめさせるため、どのかみさき遣わしつかわし荒ぶるあらぶる神々かみがみ鎮めるしずめる議りはかりました。神々かみがみ天穂日之命あめのほひのみこと遣わすつかわすよう申し上げもうしあげました。

冒頭

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